お菓子の教会  

  


人々は 光や水を大切にしてくらしている
村には 光や水にまつわる建物が いたるところにある


子どものころ「この建物の中では お菓子をつくっているのにちがいない」と思っていた


だけど 大人たちと中へ入ると お菓子はいつも片付けられていて そこには無かった
大人は 秘密ばかりだ
大人たちだけで お菓子を食べている
大人は いつもずるい


そこで 子どもたちは 仲間と誘い合わせて 忍び込むことにした


ある満月の夜に 
星の降る夜に


そうしたら ほんとうに たくさんのお菓子があったんだ
「やっぱりな」と 勝ち誇ったような気分だった
 お腹一杯お菓子を食べた


建物の中は 月の光や星の光で キラキラに満たされていた


そして
「このことは 絶対に絶対に秘密だ」と ぜったいのぜったいのぜったいの約束をして 夜明け前に家へ帰った


◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「いまさら…だけど」と 思うのだけど
今 この建物は ほんとうのお菓子工房に成っている
あのとき忍び込んだ仲間が 社長をしているんだ

 

 空からの光が お菓子を特別の味にする